お母さんが作ってくれた食卓

お母さんが作ってくれた食卓の思い出。


竹村さんの記憶障害

  1. 食事を拒否

竹村さんの食欲がだんだんなくなってきているようだ。竹村さんは、認知症によって発生した記憶障害のある90歳の祖母である。過去の記憶が部分的に残っている方だ。私が属している介護施設で介護サービスを受けてほぼ10年になる利用者である。数年前までは、食事をよくしていた姿だったのに、いつからか食事を拒否し続ける。たまに、1~2回程度の食欲がない場合はあまり心配することはありませんが、

  1. 良い栄養摂取の探す

食事を拒否し続ければ問題になる。私たち介護施設と連携している、竹村さんの主治医である山下先生の処方を受け、先日から栄養ジュースを一緒に竹村さんに食事とともに提供し始めた。[エンシュア]と呼ばれる缶に入った栄養剤である。缶1個で375kcal摂取が可能な栄養剤だ。おそらく他の介護施設でも多く使われるサプリメントだろう。毎食の食事を提供する際に一緒に1つのエンシュアを提供しながら、摂取するよう勧めている。一旦、栄養状態を維持するのに身体の栄養状態が大きく不足していないと思う。

  1. 記憶を障害

食事の時間になると、竹村さんは、いろいろな理由で食事を拒否される。

  • [さっき食事をすでにしたのに、 なんでまたご飯を食べろって言うの?] という言葉が最も多い。

食事をしなかったことを覚えておらず、食事をしていた時期を思い出しながら、お話されているようだ。

  1. 色んな記憶の障害の利用者

竹村さんとは逆に、岡田さんは食事をすでにしているにもかかわらずご飯をくれとおっしゃっている。食事中も、「おかわりちょだい」と続けて言っている祖母です。 食欲がすごい明るい性格のおばあさんだ。竹村氏と状況が全く逆のケースなのだ。介護施設にはこのように様々な場合がある。

記憶障害により、食事をしていませんが、すでに食事を終えたと覚えている場合。食事をもうしましたが、食事をしなかったと覚えている場合。

  1. 竹村さんのため食事誘う方法を探す

ある日、食事を拒否し続ける竹村さんのために、以前大好きだった食べ物を一生懸命作って竹村さんに勧めた。

  • [ 竹村さん〜 竹村さんの大好きな肉じゃがを作りました。 そして豚汁とポテトサラダもあります。 召し上がってみてください ]

竹村さんはいつものように手を振って断った。もう一度、食事を勧めたときも竹村さんは再び断った。

  • [ 私は、家に帰って、家でご飯を食べますよ ]と私に答えた。

私は竹村さんへ、

  • [ 竹村さん、そうなら、ここで食事を少しだけ食べて、その後、家に帰って食事をもっと召し上がってくだったらどうですか。 ]

と話し、竹村さんの話を引き継いで再び食事を勧めた。

  1. 食事を断る悲し理由

実は、竹村さんは家に帰らず施設で生活を続けていらっしゃるんだ。そして、家族は誰もいない。竹村さんの両親はもちろん、夫もいないし、子供もいない。ご主人と一緒に、お二人の生活を一生続け、ご主人が亡くなってまもなく認知症を発症して私たちの介護施設に入所された方である。

竹村さんはとても困った表情を私に見せながら話を続けた。

  • [私のお母さんが…私のお母さんが、家で私を待っていますよ。 私は家に帰らなければなりませんよ。 私の母が、今私のためにご飯を作っていますよ。 私のために食事の準備をしているのに、私がここでご飯を食べて家に帰ると母が困ってるし悲しと思います。 だから、私はここで、ご飯食べっちゃうとお母さんも私も困るんです。 ごめんなさいね。]

とお話をした。

私はその答えを聞いて、急に涙が出そうな気がした。私はもう何も言えず、もう食事を勧められなかった。90歳の老人である竹村さんは、まだ母親が家で本人を待っていると思っている。

おそらく本人が子供時代の時間を、今だと思っているのだろう。子供の頃、母が温かい夕食を用意して本人のために待っていた暖かい家庭の思い出。竹村さんはまだ母親という存在と一緒に生活している。

  1. 暖かいお母さんの思い出

私はしばらく何も言えなかった。涙が出そうになった。隣にいた他のステップも何も言えなかった。なんだかとても悲しい気持ちになった。竹村さんが今日食事を拒否する理由は、母の存在の記憶からだ。

認知症による記憶障害が発生しても、最近のことはすぐ忘れるけど、(短期記憶と言うんだ)幼い頃の記憶などは本人の人生において重要な記憶はあまり忘れないようだ。(エピソード記憶)

お母さんという存在は、誰にでも記憶の中に深く付いていて、絶対に忘れられない存在だと思う。そう言うことだ

私はここ日本で外国人だ。私も、海の向こう、私の国にいる母を思い出した。そして、母が暖かい夕食を準備して、私を待っていた子供の頃の思い出が浮かんだ。私の母に対する懐かしさ。私の母国に対する懐かしさ。暖かかった子供の頃の記憶。いろいろな感情が急に出てきて、私は何も言えなくなってしまった。

  1. 岡田さんの一言

竹村さんの周りにいる皆が何も言えず沈黙の中でしばらく時間が流れた。スタッフも何も言えなくて、なぜか他の利用者も何も言わない雰囲気だった。他の利用者たちも一緒に悲しい感情が生じたのか?やっぱりお母さんを思うと、悲しみに浸って食事ができないほどの懐かしい存在なのか?と思いながら、他の利用者の様子を見ているとき、隣のテーブルで食事をしばらく止めていた岡田さんが、私をずっと見ていたのに、私がその時、気づいた。

私と目を見ていた岡田さんが沈黙を破り、私に大声で言った。

  • [お~い!おかわりちょうだい〜!!]
  • [ …!!!(O.O)!!!… え?そっちだったんですか?]

悲しい感情が··· 一瞬消えた。介護施設で勤務すると、いろいろなことが起こるんだ。