夜勤は怖いよ
たまに,夜勤は怖い~ (レビー小体型認知症)
- 夜勤の悲鳴
[あ~~~!!!!]
竹内さんが寝ている101号室の部屋から大きな悲鳴が聞こえた。夜間勤務の時のことだ。私は利用者の状態に関する、記録を作成中に竹内さんの悲鳴を聞いて101号室に駆けつけた。介護施設での夜勤の業務は、一般的に夕方の4時~5時から翌日9時~10時までの勤務である。介護施設での夜勤の業務というのは、夜間時間に発生する可能性のある出来事に備えて待機することである。
予想できなかったことに対して即刻対応し、利用者の安全な生活が維持されるようにすることだ。かなり長い時間勤務する。決して易しい勤務とはいえない。夜に何もしないで、その時間に起きているだけでも大変だ。しかし夜間勤務時間には当然ながら仕事をする勤務時間なので色々と大変なことが多い。
- レビー小体型認知症の状態
私は101号室に駆けつけた。
- [竹内さん大丈夫ですか? 何があったんですか?]
竹内さんはレビー小体型認知症を持っている。レビー小体型認知症の最も代表的な特徴は幻覚症状と幻視症状だ。つまり実在しない人や小動物あるいは虫などが、本人の周辺に存在して見えると訴える認知症である。幻視症状が現れた場合、その対象を説明することも非常に具体的でリアルである。
私の経験上、利用者が幻視症状を見せる場合は、主に夜である。おそらく、暗い部屋にぼんやり見える家具や物などが幻視を誘発させるようだ。そして天井と壁の不規則な模様の壁紙から始まる幻視も多くある。レビー小体型認知症を有する高齢者に対応する介護方法は、その老人の言うことを聞く人がそのまま受け入れ、話を続けながら安心させるのだ。
そして、その内容に対して強く否定したり内容を訂正したりする場合、反発が起きかねない。受け入れる姿勢が必要だ。幻視症状がある場合、相手の心が平安になるよう援助することが最も現実的に対応可能な方法であり、最も理想的な方法だ。
- 幻覚症状に対応する
竹内さんは天井をにらみつけていた。そして私が部屋に着くと、右手を上げて指で天井の真ん中を指差した。
- [あそこのあいつらが、私を迎えに来たんだ。 あそこの窓から私をさっきからずっと見つめてる。 黒い服を着たあの男たち見えるでしょ? ]
竹内さんが指さす天井を見ると、天井の壁紙の模様が大きな四角形に見える模様だった。 その四角形を窓と認識していたようだった。
- [あの悪い奴らが私を迎えに来たよ~]
- [竹内さん大丈夫です。 私がそばにいるから大丈夫です。 安心してください]
しかし、竹内さんは興奮状態で叫び続けた。私は部屋の照明を明るくした。部屋の照明を灯す場合、幻視の症状が消えることが多い。
- [あいつら。。 悪い奴ら…]
と、竹内さんは、話していて静かになった。落ち着いた竹内さんのベッドサイドに座り、手をつないでしばらく座っていた。
- [大丈夫です。大丈夫です。 私がそばで守ってあげます。 いや~悪い奴ら消えろ~]
と言いながら、虚空に向かって手を振った。
- 「ありがとう~」
と竹内さんが私に言った。10分ほど経った後、竹内さんは安らかな顔でまた眠りについた。
- 実は私も怖い
実は、静かな夜中に誰かが大声を出したら、私もびっくりするしかない。そして私も怖い。夜中に誰かが自分を迎えに来たと言っているのに、怖くなるのは当然ではないか。私も弱い人にすぎない。静かな静寂の中で誰かが突然叫び、誰かが自分を迎えに来たと虚空に向かって戦っていると、完全に恐ろしいホラー映画の一場面だ。
- [(心の中で)···私も怖いって······ ]
- 部屋を明るくするように対応した
一週間前の夜間勤務の時、竹内さんはまた叫んだ。急いで部屋に行ってみると、竹内さんは少し開いたドアに向かって叫んでいた。-
- [あそこ見て、あそこ。 あの黒い男が私を迎えに来て、あそこに立っている。 悪いやつ。私をずっと見つめている。 ]
その方向を見ると、黒いマッサージチェアがあった。
- [(心の中で)…やめて〜よ。そんな話を聞くと、私も怖くなるよ。。 ]
私は居間の明かりを明るく照らした。そして竹内さんの叫びは消えた。
- 介護のベテランにらろう
介護施設で夜勤をしている途中に経験する日常だ。経験的にも知っているし、レビー小体認知症の症状であることを知識として知っていますが、たまに夜勤をしていてそんな症状をそばで介護していると、私も怖くなったりする。私も平凡な人間だから。
4年前、私が初めて竹内さんの幻視症状に接した時、
- [幽霊じゃないかな? 死ぬ直前に、空から誰かが迎えに来るという話をネットで見たことがある。まさか明日亡くなるのかな? ]
と心配したことがあった。しかし、その次の日はとても元気な姿で過ごしていたし、4年が経った今も元気に生きていらっしゃってる。
夜間勤務のため、出勤すると、笑いながら私を迎える竹内さん。
- [こんばんは~]
- [こんばんは。 今日の勤務担当であるカイです。 今日も、よろしくお願いします。 ]