クリスマス意味の再解釈
クリスマス意味の再解釈
日本でクリスマスを初めて迎えたとき、ちょっと不思議だった。
いろんな国で暮らした経験のある私にとって、クリスマスはカレンダーでいつも赤い日で表示されていた。でも、日本はただ黒で表示されている平日なのが私の目にはちょっと不思議だった。 日本を除くほとんどの国では、クリスマスは正式な休日です。 まるで日曜日のように決まった休日だと思ったが、日本では皆が出勤して仕事をする。 外国人の私としては少し不思議に感じる。もちろん私の働く介護施設では日曜日でも赤い日でも休日でも構わない。 シフトによって週末も平日も全く関係なく勤務日が決まり休みが決まる。私にはクリスマスはどでもいいわ~
公式的な休業日ではありませんが、介護施設ではクリスマスにはクリスマスパーティーを開く。大したことではないが、職員たちが祖父と祖母たちと熱心に室内装飾もし、祖父と祖母たちに送るカードも書く。 おじいさん、おばあさんたちに内緒でプレゼントも用意しておく。 そして少し特別なレクリエーションゲームも準備して楽しく時間を過ごす。
おじいさん、おばあさんたちが一番好きなゲームはビンゴゲームだ。 まるで宝くじのように数字を選んでビンゴを先に完成させた人がプレゼントを持っていく。もちろんプレゼントはすべてのおじいさん、おばあさんたちが持っていけるように準備しておき、ゲームの運営もすべての人がプレゼントを受け取れるように少し操作したりもする。
しかし、おじいさん、おばあさんはプレゼントをもらうために熱心にそして楽しく参加し、職員たちもプレゼントを渡すために熱心に参加する。そして、最後にクリスマスケーキとお菓子などを食べればクリスマスパーティーは終わる。これが介護施設のクリスマスパーティーだ
2022年12月25日のクリスマスが過ぎ、1月1日の正月も過ぎたある日。
奈々子さんが私に話しかけてきた。ななこさんは93歳の要介護1の優しくて元気なおばあさんだ。 奈々子さんはスタッフと話すのが好きで、そうやって時間を過ごしている。 特に本人の幼い頃の思い出などを話すのが好きだ。90年以上の時間を過ごした方なので、たまに不思議な話もたくさん聞くようになる。楽しかった思い出、辛かった思い出がすべてあなたの人生なのだ。
ななこさん。
[正月においしいものをたくさん食べて楽しかった。そしてクリスマスもすご〜く楽しかったよ。]
私。
[そうなんですね。クリスマスパーティーで 食べたケーキもおいしかったですね。]
[うん、おいしかった。]
[プレゼントもたくさんもらいましたよね?]
[うん、プレゼントももらって、ちょっと待って、それが今どこにあるんだっけ?多分どこかに置いたはず]
[お~皆覚えていらっしゃるなんて、まだまだ生きていらっしゃるんですね~]
[老人バカにするな〜!]
[いや、いや、そんなことないです。 あはは〜]
[ホ,ホ,ホ]
ふと、奈々子さんが思うクリスマスはどんな意味で、幼い頃のクリスマスの思い出がどうだったのか聞いてみたかった。
介護職では*回想法という対話法がある。過去を回想しながら対話をしながら過去の記憶を蘇らせれば、認知症の速度が遅くなり認知症の老人も活気を帯びるようになる。それを願って考案した方法が*回想法だ。特別なことではなく、老人が本人の過去を話すように誘導すれば良い。
[奈々子さん、クリスマスは何を記念する日ですか?]と尋ね、ひとまず会話の話題を切り出した。そして、私たちの会話は思いもよらないところにつながっていった。
[クリスマスはね…アメリカの正月だ。]
[…?…(え?いきなりアメリカの話?アメリカの正月?って?)…]
私。
[違うと思うんですけど、 誰かが生まれた日じゃないですか?]
[違うって。 お前が幼いから分からないんだよ。 アメリカの正月だよ。]
[そうなんですか? 初めて聞く話なんですけど? では、アメリカの正月をなぜ日本人が記念するのですか? 日本の正月でもないのに?]
[それはね、辛い歴史があるよ。君は生まれてもいない時に日本に戦争があった。アメリカと日本が戦争をしたんだよ。その時日本が負けた。]
[あ、そうですか?]
[その時日本が負けたが、その時から米国が日本に米国の正月も記念するよう要求したという。それから、日本は正月が二つになった。]
[…?…(話がだんだん山に登っていく)…]
私、
[そうなんですか?アメリカから強制的に求められたら、従うしかないんですか?知らないふりを無視してはいけないのかな?]
[その時は、そうするしかなかった。 その時は大変な時期だったよ。あなたは若いからわからないよ。]
[…?…(違うと思うんですけど?)…]
私、
[いや、それなら、もっとクリスマスを無視すべきではないですか? ななこさんの言うとおりなら、あまり良い日でもないようですから、日本と関係もない日だし。私たち、クリスマスパーティーは何で楽しく過ごしたかな〜]
[うるさい、とにかく、その時から日本はアメリカの正月を過ごすようになったよ。]
[そうなんですか? 初めて聞く話ですが、とりあえず分かりました。では、クリスマスにいつも登場するサンタクロースのおじいさんは誰ですか?]
[それはアメリカ人]
[…(違うって)…]
[じゃあ、サンタのトナカイは?]
[それは私も知らない。多分、アメリカでは家でドナカイを飼っているみたい。]
[私は今までクリスマスが、イエスが生まれた誕生日だと思っていました。]
[誰?]
[イエス]
[何それ~]
[クリスマスに生まれた人です]
[知らない、そんな人。とにかくクリスマスはアメリカの正月なんだ。]
[とりあえず、分かりました。]
ま〜どうでもいいわ。私の誕生日じゃないし。たぶん、赤ちゃんイエス様が「信じられない」と言っているかもしれない。
あの日は回想法の効果があったかな?意味なかったかな?
…..
* 回想法 :
回想法は比較的維持されている子供の頃の記憶などを引き出すことで人生を振り返り、認知症の高齢者の心の安定を図り、心の働きを豊かにすることを期待する心理療法である。