私は外国人介護福祉士です
私は外国人介護福祉士です。
これからよろしくお願いします。
[おはようございます。花子さん。今日もよろしくお願いします。 ]
[おはよう、こちらこそ。 今日もよろしくね。]
私は老人介護施設の介護職スタッフだ。 そして、私は外国人だ。
私が働いている介護施設は、海のある小さな町にある。 ここで働いた期間も4年が過ぎている。初めてここに入社した時は、ちょうど日本に来たばかりだったので、日本語といえば「ありがとうございます」そして「ごめんなさい」ぐらい、それも自信のない声で話すレベルだった。 日本に行こうとする外国人なら、誰でもあの二言の言葉を一番先に覚えてから日本に入ってくると思う。
時間が4年ほど経つと、日本語もだいぶ話せるようになったようだ。 4年なら高校でも大学でもどこでも一ヶ所の学校に入学して卒業するくらいの時間だから, その4年が流れる間、私はなんとなく日本語を話せるようになった。
[花子様、昨日はよく眠れましたか?]
[うん、よく寝た、外は寒い? 今、雪降ってるの?]
テレビでは札幌の気象情報が流れていた。 札幌の今日の体感気温は-27度だそうだ。やっぱり札幌は寒いところだ。
[雪降ってません。ただ寒いだけです。]
[そうか。]
[朝ご飯は? おいしく召し上がりましたか?]
[それがね、最近食欲がなくてね。朝ごはんを食べないのよ。]…と花子さんが話したが、後で朝ご飯を作った職員に聞いたら、花子さんは朝食に提供されたパンとサラダ、ヨーグルト、コーヒーまですべて召し上がったそうだ。 介護用語では完食という。花子さんの朝ご飯は完食。
認知症が始まると、家族や周辺の人々が真っ先に気づく症状の一つが、覚えられないことだ。 特に短期記憶から始まる、5分前あるいは10分前のことを覚えていない場合も多い。 反面、かなり前に保存された記憶は短期記憶に比べて比較的よく覚えられるようだ。 本人の子供の頃の村の名前とか、若い頃の会社の記憶とか。
花子さんがまた聞いた。
[ところで、あなた、誰? どこかで見た気がするけど、どこだったかな、、、 ]
[(心の声:また同じ質問だね)、私はここで働いています。 これからよろしくお願いしますね。 ]
[うん、私もよろしく。]
花子さんは実は、半年前にここに入所してから毎日私と会うんだ。 まだ私のことをよく覚えていないのか、毎回会ってから繰り返し忘れてしまうのか曖昧だが、今日も初めて会うように挨拶をした。
[ はじめまして。私は外国から来た外国人介護福祉士です。 これからよろしくお願いします. ]
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*認知症の特徴 :
記憶障害 ー脳の機能が損傷し、本人が体験したある状況自体を忘れてしまう。 新しいことを覚えられない事が多い。