おかわりちょうだい
[こんにちは] の答えは [おかわりちょうだい]
日本に来て介護施設で初めて働き始めたとき、戸惑うことが多かった。例えば、「こんにちは」と挨拶をすると「こんにちは」の返事が返ってくることを日本語レベル1の勉強をしながら学んだが現実では、「こんにちは」と挨拶をすると、いきなり[おかわりちょうだい]という返事が返ってきた。
[(心の中で)え?おか? 何? どういう意味? 何て言ってるんだろう? <こんにちは>の答えは<こんにちは>じゃないの?」と思った。その時は’(ご飯の)おかわり’という日本語が分からなくて混乱してっていた。 それで適当に[すみません]と答えて別の所に逃げた。認知症に対する理解も足りず、言葉も通じないので大変だった。退勤の後、家で日本語の勉強をしてもなんか同じみたいだった。
毎日繰り返しながら経験し色んな認知症に関してGoogleで探してみた。時間が経って認知症の特性がある程度理解できるようになり、毎日の日本語の勉強の結果、<おかわり>の日本語の意味も分かるようになった。
数日前にも施設で利用者(介護の用語で施設を利用する年寄様を利用者って言うんだ)の昼食を手伝っていた時、岡田さんが私を見ながら手を振った。 岡田さんのところに行って「何か必要なものはありますか?」と言うと、「おかわりちょうだい」と言われた。
私は台所に行って、新しい茶碗にご飯を盛って岡田さんに差し上げた。 岡田さんに初めて会ったとき、「おかわり」と頼まれたとき、岡田さんが食べて終わった茶碗に新しいご飯を入れ直し渡した。
5分後にまた「おかわり」と言うのだ。そして、もう一度ご飯を盛ってお持ちしたら、もう一度召し上がった後、「おかわり」とおっしゃるのだ。[なんかおかしいな~]っと感じながらまたご飯を持ってきて差し上げた。それから5分後にまた聞こえる声[おかわりちょうだい]。
これは多分、永遠にかわりになる[おかわり]だ。これは無理だと思って、岡田さんに[おかわありはもう既に私が持ってきて岡田様がもう召しあがりました。]と言うと、[嘘つくな]と言われた。そして嘘ではないとずっと話したら。[もったいないの?]と返事が返ってきた。[(ご飯がもったいないわけないだろう。私のご飯でもないし。)]
[ご飯がもったいないでわないです。今、岡田様が召し上がっているご飯の量が多すぎるんです。そして私が岡田さんに頼まれたおかわりのご飯はもう差し上げて、岡田様が召しあがりました。]と言った。
数秒間、私を見つめ、[もう〜ええ〜わ!いらん!]と怒られた。[(もっええって、なに? いらんって!!なんですか? 申し訳ないんですけど、今、おかずは全く食べずにご飯だけ3回召し上がったんですけど、、、))確かに、岡田さんはご飯を召し上がるその5分の間に、5分前のことを忘れてしまうのだ。
その食事以降、一人で悩み、次の食事の時から[おかわり,ちょうだい]と言われると、台所にある新しい茶碗にご飯を盛って差し上げて、すでに終わったお茶碗はそのまま岡田さんの前に置いた。
すると、[おかわりちょうだい]は一回で終わった。そしてその次の5分後の質問は[私、おかわり、もうしたか?]に質問が変わった。
「はい。もうおかわりしました。岡田さんの前に茶碗が二つ置いてあるでしょう?」と言ったら、2つの茶碗を見て何も言わなかった。本人は覚えていないが、本人が食べて残った茶碗の跡が前にあるので、私の言葉が受け入れられるようだ。
昼食後、リビングでテレビを見ながら、私に「お茶一杯、ちょうだい」と言われて、麦茶を一杯持ってきて渡した。
麦茶をいただいた岡田さんに
[ありがとう。]言われた。
その5分後、岡田さんのまさかの「おかわりちょうだい」が出たのだ。その言葉をを言われた後、新しコップで麦茶を持って改めて、岡田さんに渡した途端岡田さんから、[あなた、誰?ここに住んでいるの?」と言われた。
やはり、2年間繰り返される同じ質問だ。 岡田さんは毎日が私に初めて会う状況のようだ。しょうがない。私もこの状況を合わせて楽しみにしています。
[はじめまして。私は外国から来た外国人介護福祉士です。これからよろしくお願いします。]
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*老年期の特徴 : 多分、ご飯が大好きかも。